ゞ》ちに木像《もくざう》の美女《たをやめ》とすべき、一口《ひとふり》の宝刀《ほうたう》を佩《お》びたる如《ごと》く、其《そ》の威力《ゐりよく》に脚《あし》を踏《ふ》んで、胸《むね》を反《そ》らした。
「本気《ほんき》の沙汰《さた》ではない、世《よ》にあるまじき呵責《かしやく》の苦痛《くつう》を受《う》けて居《ゐ》る、女房《にようばう》の音信《おとづれ》を聞《き》いて、赫《くわつ》と成《な》つて気《き》が違《ちが》つたんです。」
我《われ》と我《わ》が想像《さうざう》に酔《よ》つて、見惚《みと》れた玉《たま》の膚《はだえ》の背《せなか》を透《とほ》して、坊主《ばうず》の黒《くろ》い法衣《ころも》が映《うつ》る、と水《みづ》の中《なか》に天守《てんしゆ》の梁《うつばり》に釣下《つりさ》げられた、其《そ》の姿《すがた》を獣《けもの》の襲《おそ》ふ、其《そ》の俤《おもかげ》を歴然《あり/\》と見《み》た。無惨《むざん》の状《さま》に、ふつと掻消《かきけ》した如《ごと》く美《うるは》しいものは消《き》えた。
『呼《よ》ぶわ、呼《よ》ぶわ。』
と云《い》つた坊主《ばうず》の声《こゑ》。
『おゝい
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