忠勇《ちうゆう》、勝《か》つなアお前《めえ》あたりまへだ、何《なに》も不思議《ふしぎ》なことあねえ。」とムキになるのは大《おほ》きに野暮《やぼ》、號外《がうぐわい》を見《み》てぴしや/\と額《ひたひ》を叩《たゝ》き、「不思議《ふしぎ》だ不思議《ふしぎ》だ」といつたとて勝《か》つたが不思議《ふしぎ》であてにはならぬといふにはあらず、こゝの道理《だうり》を噛分《かみわ》けてさ、この七不思議《なゝふしぎ》を讀《よ》み給《たま》へや。
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東西《とうざい》、最初《さいしよ》お聞《きゝ》に達《たつ》しまするは、
「しゝ寺《でら》のもゝんぢい。」
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これ大弓場《だいきうば》の爺樣《ぢいさん》なり。人《ひと》に逢《あ》へば顏相《がんさう》をくづし、一種《いつしゆ》特有《とくいう》の聲《こゑ》を發《はつ》して、「えひゝゝ。」と愛想《あいさう》笑《わらひ》をなす、其顏《そのかほ》を見《み》ては泣出《なきだ》さぬ嬰兒《こども》を――、「あいつあ不思議《ふしぎ》だよ。」とお花主《とくい》は可愛《かはい》がる。
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次が、
「勸工場《くわんこう
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