》、其處《そこ》へ――
五
「あゝ、彼處《あすこ》が鎭守《ちんじゆ》だ――」
吹雪《ふゞき》の中《なか》の、雪道《ゆきみち》に、白《しろ》く續《つゞ》いた其《そ》の宮《みや》を、さながら峰《みね》に築《きづ》いたやうに、高《たか》く朦朧《もうろう》と仰《あふ》ぎました。
「さあ、一息《ひといき》。」
が、其《そ》の息《いき》が吐《つ》けません。
眞俯向《まうつむ》けに行《ゆ》く重《おも》い風《かぜ》の中《なか》を、背後《うしろ》からスツと輕《かる》く襲《おそ》つて、裾《すそ》、頭《かしら》をどツと可恐《おそろし》いものが引包《ひきつゝ》むと思《おも》ふと、ハツとひき息《いき》に成《な》る時《とき》、さつと拔《ぬ》けて、目《め》の前《まへ》へ眞白《まつしろ》な大《おほき》な輪《わ》の影《かげ》が顯《あらは》れます。とくる/\と※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》るのです。※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》りながら輪《わ》を卷《ま》いて、卷《ま》き/\卷込《まきこ》めると見《み》ると、忽《たちま》ち凄《すさま》じい渦《うづ》に成《な》
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