てあけさせませう。また彼方此方《あつちこち》五六|軒《けん》立場茶屋《たてばぢやや》もござりますが、美《うつく》しい貴女《あなた》さま、唯《たつた》お一人《ひとり》、預《あづ》けまして、安心《あんしん》なは、此《こ》の外《ほか》にござりませぬ。武生《たけふ》の富藏《とみざう》が受合《うはあ》ひました、何《なん》にしろお泊《とま》んなすつて、今夜《こんや》の樣子《やうす》を御覽《ごらう》じまし。此《こ》の雪《ゆき》の止《や》むか止《や》まぬかが勝負《しようぶ》でござります。もし留《や》みませぬと、迚《とて》も路《みち》は通《つう》じません、降《ふり》やんでくれさへすれば、雪車《そり》の出《で》ます便宜《たより》もあります、御存《ごぞん》じでもありませうが、此《こ》の邊《へん》では、雪籠《ゆきごめ》といつて、山《やま》の中《なか》で一夜《いちや》の内《うち》に、不意《ふい》に雪《ゆき》に會《あ》ひますると、時節《じせつ》の來《く》るまで何方《どちら》へも出《で》られぬことになりますから、私《わたくし》は稼人《かせぎにん》、家《うち》に四五|人《にん》も抱《かゝ》へて居《を》ります、萬《まん
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