誓之巻
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)後《のち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|度《たび》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]
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団欒 石段 菊の露 秀を忘れよ 東枕 誓
[#改ページ]
団欒
後《のち》の日のまどいは楽しかりき。
「あの時は驚きましたっけねえ、新さん。」
とミリヤアドの顔嬉しげに打《うち》まもりつつ、高津《たかつ》は予を見向きていう。ミリヤアドの容体はおもいしより安らかにて、夏の半《なかば》一|度《たび》その健康を復せしなりき。
「高津さん、ありがとう。お庇《かげ》様で助かりました。上杉さん、あなたは酷《ひど》い、酷い、酷いもの飲ませたから。」
と優しき、されど邪慳《じゃけん》を装える色なりけり。心なき高津の何をか興ずる。
「ねえ、ミリヤアドさん、あんなものお飲ませだからですねえ。新さんが悪いんだよ。」
「困るねえ、
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