って出て、
「自惚でない。承った、その様子、怪《け》しからん嬌媚《きょうび》の体《てい》じゃ。さようなことをいたいて、少《わか》い方の魂を蕩《とろ》かすわ、ふん、ふふん、」
と頻《しき》りに頷《うなず》きながら、
「そこでその、白い乳房でも露《あらわ》したでござるか。」
「いいえ。」
「いずれ、鳩尾《みずおち》に鱗《うろこ》が三枚……」
黙って三造は頭《かぶり》を掉《ふ》る。
「全体|蛇体《じゃたい》でござるかな。」
「いいえ。」
「しからば一面の黒子《ほくろ》かな、何にいたせ、その膚を、その場でもって……」
「見ました、見ましたが、それは寝てからです。」
「寝て……からはなお怪しからん。これは大変。」
と引掴《ひッつか》んで膝去《いざ》り出した、煙草入れ押戻しさまに、たじたじとなって、摺下《ずりさが》って、
「はッはッ、それまで承っては、山伏も恐入る。あのその羅《うすもの》を透くと聞きましただけでも美しさが思い遣《や》られる。寝てから膚を見たは慄然《ぞっ》とする……もう目前《めさき》へちらつく、独《ひとり》の時なら鐸《すず》を振って怨敵退散《おんてきたいさん》と念ずる処じゃ。」
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