は泣いていました。露が閃《きら》めく葉を分けて、明石に透いた素膚《すはだ》を焼くか、と鬼百合が赫《かっ》と紅《あか》い。
 その時、峰はずれに、火の矢のように、颯《さっ》と太陽の光が射《さ》した。貴婦人が袖を翳《かざ》して、若い女を庇《かば》いました。……
 あの、鬼の面は、昨夜《ゆうべ》、貴下を罵《ののし》るトタンに、婦《おんな》を驚かすまいと思って、夢中で投げたが――驚いたんです、猿ヶ馬場を出はずれる峠の下り口。谷へ出た松の枝に、まるで、一軒家の背戸のその二人を睨《にら》むよう、濶《かっ》と眼《まなこ》を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みひら》いて、紫の緒で、真面《まむき》に引掛《ひっかか》っていたのです。……
 お先達、私はどうしたら可《い》いでしょう。」
 と溜息《ためいき》を一度に吐《つ》く――
「ふう、」
 と一時《いっとき》に返事をして、ややあって、
「鬼神に横道はござらんな。」
 と山伏も目を瞬《しばたた》いた。
 で、そのまま誓を立てさせては、今時誰も通らぬ山路、半日はよし、一日はよし、三日と経《た》たぬに、飢《うえ》もしよう、渇きもしよう、炎天に曝《さら
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