窓から顔を出した奴がある、一目見るや、膝を返しざまに見当もつけず片手なぐりに斬払って、其奴《そいつ》の片腕をばさりと落した。時に、巴旦杏の樹へ樹上《きのぼ》りをして、足を踏《ふんば》張って透見《すきみ》をしていたのは、青い洋服の少年です。
お綾が、つかつかと屋根へ出て、狼狽《うろた》えてその少年の下りる処を、ぐいと突貫いたが、下腹で、ずるり腸《はらわた》が枝にかかって、主は血みどれ、どしんと落ちた。
この光景《ありさま》に、驚いたか、湯殿口に立った髯面《ひげづら》の紳士が、絽羽織《ろばおり》の裾《すそ》を煽《あお》って、庭を切って遁《に》げるのに心着いて、屋根から飜然《ひらり》……と飛んだと言います。垣を越える、町を突切《つッき》る、川を走る、やがて、山の腹へ抱《だき》ついて、のそのそと這上《はいあが》るのを、追縋《おいすが》りさまに、尻を下から白刃《しらは》で縫上げる。
ト頂に一人立って、こっちへ指さしをして笑ったものがある。エエ、と剣《つるぎ》を取って飛ばすと、胸元へ刺さって、ばったり、と朽木倒《くちきだおれ》。
するする攀上《よじのぼ》って、長船のキラリとするのを死骸から
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