夢」の「夕」に代えて「目」)」、第4水準2−12−81]《もう》となった。
が、ここだ、と一番《ひとつ》、三盃《さんばい》の酔《よい》の元気で、拝借の、その、女の浴衣の、袖を二三度、両方へ引張り引張り、ぐっと膝を突向けて、
(夫人《おくさん》。)と遣った――
(生命《いのち》に別条はありませんでしょうな。)
卑劣なことを、この場合、あたかも大言壮語するごとく浴《あび》せたんです。
笑うか、打《ぶ》つか、呆れるか、と思うと、案外、正面から私を視《み》て、
(ええ、その御心配のござんせんように、工夫をしていますんです。)
と判然《きっぱり》言う。その威儀が正しくって、月に背けた顔が蒼《あお》く、なぜか目の色が光るようで、羅《うすもの》の縞《しま》もきりりと堅く引緊《ひきしま》って、くっきり黒くなったのに、悚然《ぞっと》すると、身震《みぶるい》がして酔が醒《さ》めた。
(ええ!)
しばらくして、私は両手を支《つ》かないばかりに、
(申訳がありません。)
でもって恐入ったは、この人こそ、坂口で手を掉《ふ》って、戻れ、と留めてくれたそれでしょう。
(どうぞ、無事に帰宅の出来ますように
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