水《しやうづ》。――桂《かつら》清水《しやうづ》で手拭《てぬぐひ》ひろた、と唄《うた》ふ。山中《やまなか》の湯女《ゆな》の後朝《きぬ/″\》なまめかし。其《そ》の清水《しやうづ》まで客《きやく》を送《おく》りたるもののよし。
二百十日《にひやくとをか》の落水《おとしみづ》に、鯉《こひ》、鮒《ふな》、鯰《なまづ》を掬《すく》はんとて、何處《どこ》の町内《ちやうない》も、若い衆《しう》は、田圃《たんぼ》々々《/\》へ總出《そうで》で騷《さわ》ぐ。子供《こども》たち、二百十日《にひやくとをか》と言《い》へば、鮒《ふな》、カンタをしやくふものと覺《おぼ》えたほどなり。
謎《なぞ》また一《ひと》つ。六角堂《ろくかくだう》に小僧《こぞう》一人《ひとり》、お參《まゐ》りがあつて扉《と》が開《ひら》く、何《なに》?……酸漿《ほうづき》。
味噌《みそ》の小買《こがひ》をするは、質《しち》をおくほど恥辱《ちじよく》だと言《い》ふ風俗《ふうぞく》なりし筈《はず》なり。豆府《とうふ》を切《き》つて半挺《はんちやう》、小半挺《こはんちやう》とて賣《う》る。菎蒻《こんにやく》は豆府屋《とうふや》につきものと
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