《ひら》く時《とき》、紅々《こう/\》白々《はく/\》。
 木槿《むくげ》、木槿《はちす》にても相《あひ》分《わか》らず、木槿《もくで》なり。山《やま》の芋《いも》と自然生《じねんじやう》を、分《わ》けて別々《べつ/\》に稱《とな》ふ。
 凧《たこ》、皆《みな》いか[#「いか」に白丸傍点]とのみ言《い》ふ。扇《あふぎ》の地紙形《ぢがみがた》に、兩方《りやうはう》に袂《たもと》をふくらましたる形《かたち》、大々《だい/\》小々《せう/\》いろ/\あり。いづれも金《きん》、銀《ぎん》、青《あを》、紺《こん》にて、圓《まる》く星《ほし》を飾《かざ》りたり。關東《くわんとう》の凧《たこ》はなきにあらず、名《な》づけて升凧《ますいか》と言《い》へり。
 地形《ちけい》の四角《しかく》なる所《ところ》、即《すなは》ち桝形《ますがた》なり。
 女《をんな》の子《こ》、どうかすると十六七の妙齡《めうれい》なるも、自分《じぶん》の事《こと》をタア[#「タア」に傍点]と言《い》ふ。男《をとこ》の兒《こ》は、ワシ[#「ワシ」に白丸傍点]は蓋《けだ》しつい通《とほ》りか。たゞし友達《ともだち》が呼《よ》び出《
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