ま》より出《い》づ。
 こつさ[#「こつさ」に傍点]いりんしんか[#「いりんしんか」に白丸傍点]とて柴《しば》をかつぎて、※[#非0213外字:「姉」の正字、第3水準1−85−57の木へんの代わりに女へん、501−11]《あね》さん被《かぶ》りにしたる村里《むらざと》の女房《にようばう》、娘《むすめ》の、朝《あさ》疾《と》く町《まち》に出《い》づる状《さま》は、京《きやう》の花賣《はなうり》の風情《ふぜい》なるべし。六《むつ》ツ七《なゝ》ツ茸《きのこ》を薄《すゝき》に拔《ぬ》きとめて、手《て》すさみに持《も》てるも風情《ふぜい》あり。
 渡鳥《わたりどり》、小雀《こがら》、山雀《やまがら》、四十雀《しじふから》、五十雀《ごじふから》、目白《めじろ》、菊《きく》いたゞき、あとり[#「あとり」に傍点]を多《おほ》く耳《みゝ》にす。椋鳥《むくどり》少《すくな》し。鶇《つぐみ》最《もつと》も多《おほ》し。
 じぶ[#「じぶ」に丸傍点]と云《い》ふ料理《れうり》あり。だししたぢに、慈姑《くわゐ》、生麩《なまぶ》、松露《しようろ》など取合《とりあ》はせ、魚鳥《ぎよてう》をうどんの粉《こ》にまぶして
前へ 次へ
全29ページ中19ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング