逗子だより
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)夜《よる》は

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)十|時《じ》を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「石+角」、第3水準1−89−6、338−6]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)はら/\とこぼるゝ
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 夜《よる》は、はや秋《あき》の螢《ほたる》なるべし、風《かぜ》に稻葉《いなば》のそよぐ中《なか》を、影《かげ》淡《あは》くはら/\とこぼるゝ状《さま》あはれなり。
 月影《つきかげ》は、夕顏《ゆふがほ》のをかくしく縋《すが》れる四《よ》ツ目《め》垣《がき》一重《ひとへ》隔《へだ》てたる裏山《うらやま》の雜木《ざふき》の中《なか》よりさして、浴衣《ゆかた》の袖《そで》に照添《てりそ》ふも風情《ふぜい》なり。
 山續《やまつゞ》きに石段《いしだん》高《たか》く、木下闇《こしたやみ》苔蒸《こけむ
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