《ま》にか他《た》に見物が出来たて。
爾時《そのとき》、御新姐《ごしんぞ》の顔の色は、こぼれかかった艶《つや》やかなおくれ毛を透《す》いて、一入《ひとしお》美しくなったと思うと、あのその口許《くちもと》で莞爾《にっこり》として、うしろざまにたよたよと、男の足に背《せなか》をもたせて、膝を枕にすると、黒髪が、ずるずると仰向《あおむ》いて、真白《まっしろ》な胸があらわれた。その重みで男も倒れた、舞台がぐんぐんずり下《さが》って、はッと思うと旧《もと》の土。
峰から谷底へかけて哄《どっ》と声がする。そこから夢中で駈け戻って、蚊帳《かや》に寝た私《わたくし》に縋《すが》りついて、
(水を下さい。)
と言うて起された、が、身体中《からだじゅう》疵《きず》だらけで、夜露にずぶ濡《ぬれ》であります。
それから暁《あかつき》かけて、一切の懺悔話《ざんげばなし》。
翌日《あくるひ》は一日《いちにち》寝てござった。午《ひる》すぎに女中が二人ついて、この御堂《みどう》へ参詣なさった御新姐《ごしんぞ》の姿を見て、私は慌《あわ》てて、客人に知らさぬよう、暑いのに、貴下《あなた》、この障子を閉切《しめき
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