》ったでございますよ。
以来、あの柱に、うたゝ寐《ね》の歌がありますので。
客人はあと二、三日、石の唐櫃《からびつ》に籠《こも》ったように、我《われ》と我を、手足も縛るばかり、謹《つつし》んで引籠《ひきこも》ってござったし、私《わたくし》もまた油断なく見張っていたでございますが、貴下《あなた》、聊《いささ》か目を離しました僅《わずか》の隙《ひま》に、何処《どこ》か姿が見えなくなって、木樵《きこり》が来て、点燈頃《ひともしごろ》、
(私《わし》、今、来がけに、彼処《あすこ》さ、蛇《じゃ》の矢倉《やぐら》で見かけたよ、)
と知らせました。
客人はまたその晩のような芝居が見たくなったのでございましょう。
死骸《しがい》は海で見つかりました。
蛇《じゃ》の矢倉《やぐら》と言うのは、この裏山の二ツ目の裾《すそ》に、水のたまった、むかしからある横穴で、わッというと、おう――と底知れず奥の方へ十里も広がって響きます。水は海まで続いていると申伝《もうしつた》えるでありますが、如何《いかが》なものでございますかな。」
雨が二階家《にかいや》の方からかかって来た。音ばかりして草も濡らさず、裾
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