勿論《もちろん》、肉は躍《おど》り、血は湧《わ》いてな。
しばらくすると、その自分が、やや身体《からだ》を捻《ね》じ向けて、惚々《ほれぼれ》と御新姐《ごしんぞ》の後姿を見入ったそうで、指の尖《さき》で、薄色の寝衣《ねまき》の上へ、こう山形に引いて、下へ一ツ、△を書いたでございますな、三角を。
見ている胸はヒヤヒヤとして冷汗がびっしょりになる。
御新姐《ごしんぞ》は唯《ただ》首垂《うなだ》れているばかり。
今度は四角、□、を書きました。
その男、即《すなわち》客人御自分が。
御新姐《ごしんぞ》の膝にかけた指の尖《さき》が、わなわなと震えました……とな。
三度目に、○、円《まる》いものを書いて、線の端《はし》がまとまる時、颯《さっ》と地を払って空へ抉《えぐ》るような風が吹くと、谷底の灯《ひ》の影がすっきり冴《さ》えて、鮮《あざや》かに薄紅梅《うすこうばい》。浜か、海の色か、と見る耳許《みみもと》へ、ちゃらちゃらと鳴ったのは、投げ銭と木《こ》の葉の摺《す》れ合う音で、くるくると廻った。
気がつくと、四、五人、山のように背後《うしろ》から押被《おっかぶ》さって、何時《いつ》の間
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