さの、しかも、すらりとした脊丈《せたけ》になって、しょんぼりした肩の処へ、こう、頤《おとがい》をつけて、熟《じっ》と客人の方を見向いた、その美しさ!
正《まさ》しく玉脇の御新姐《ごしんぞ》で。」
二十三
「寝衣《ねまき》にぐるぐると扱帯《しごき》を巻いて、霜《しも》のような跣足《はだし》、そのまま向うむきに、舞台の上へ、崩折《くずお》れたように、ト膝を曲げる。
カンと木を入れます。
釘《くぎ》づけのようになって立窘《たちすく》んだ客人の背後《うしろ》から、背中を摺《す》って、ずッと出たものがある。
黒い影で。
見物が他《た》にもいたかと思う、とそうではない。その影が、よろよろと舞台へ出て、御新姐《ごしんぞ》と背中合わせにぴったり坐った処《ところ》で、こちらを向いたでございましょう、顔を見ると自分です。」
「ええ!」
「それが客人御自分なのでありました。
で、私《わたくし》へお話に、
(真個《ほんとう》なら、其処《そこ》で死ななければならんのでした、)
と言って歎息《たんそく》して、真蒼《まっさお》になりましたっけ。
どうするか、見ていたかったそうです。
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