ただ》その山路へ、堂の左の、巌間《いわま》を抜けて出たものでございます。
トいうのが、手に取るように、囃《はやし》の音が聞えたからで。
直《じ》きその谷間《たにあい》の村あたりで、騒いでいるように、トントンと山腹へ響いたと申すのでありますから、ちょっと裏山へ廻りさえすれば、足許に瞰下《みお》ろされますような勘定《かんじょう》であったので。客人は、高い処《ところ》から見物をなさる気でござった。
入り口《くち》はまだ月のたよりがございます。樹の下を、草を分けて参りますと、処々《ところどころ》窓のように山が切れて、其処《そこ》から、松葉掻《まつばかき》、枝拾い、じねんじょ穿《ほり》が谷へさして通行する、下の村へ続いた路《みち》のある処が、あっちこっちにいくらもございます。
それへ出ると、何処《どこ》でも広々と見えますので、最初左の浜庇《はまびさし》、今度は右の茅《かや》の屋根と、二、三|箇処《がしょ》、その切目《きれめ》へ出て、覗《のぞ》いたが、何処《どこ》にも、祭礼《まつり》らしい処はない。海は明《あかる》く、谷は煙《けぶ》って。」
二十一
「けれども、その囃子《
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