はやし》の音は、草《くさ》一叢《ひとむら》、樹立《こだち》一畝《ひとうね》出さえすれば、直《じ》き見えそうに聞えますので。二足《ふたあし》が三足《みあし》、五足《いつあし》が十足《とあし》になって段々深く入るほど――此処《ここ》まで来たのに見ないで帰るも残惜《のこりおし》い気もする上に、何んだか、旧《もと》へ帰るより、前へ出る方が路《みち》も明《あかる》いかと思われて、些《ち》と急足《いそぎあし》になると、路も大分《だいぶん》上《のぼ》りになって、ぐいと伸上《のびあが》るように、思い切って真暗《まっくら》な中を、草を※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》って、身を退《ひ》いて高い処《ところ》へ。ぼんやり薄明るく、地ならしがしてあって、心持《こころもち》、墓地の縄張《なわばり》の中ででもあるような、平《たいら》な丘の上へ出ると、月は曇ってしまったか、それとも海へ落ちたかという、一方は今来た路《みち》で向うは崕《がけ》、谷か、それとも浜辺かは、判然せぬが、底《そこ》一面《いちめん》に靄《もや》がかかって、その靄に、ぼうと遠方の火事のような色が映《うつ》っていて、篝《かがり》
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