っとですよ。今夜にも、寝ないでお待ち申しますよ。あ、あ、たんと、そんなことをお言いなさい、どうせ寝られないんだから可《よ》うございます。怨《うら》みますよ。夢にでもお目にかかりましょうねえ、否《いいえ》、待たれない、待たれない……)
お道《みち》か、お光《みつ》か、女の名前。
(……みいちゃん、さようなら、夢で逢いますよ。)――
きりきりと電話を切ったて。」
「へい、」
と思わず聞惚《ききと》れる。
「その日は帰ってから、豪《えら》い元気で、私《わたし》はそれ、涼しさやと言った句《く》の通り、縁《えん》から足をぶら下げる。客人は其処《そこ》の井戸端《いどばた》に焚《た》きます据風呂《すえぶろ》に入って、湯をつかいながら、露出《むきだ》しの裸体談話《はだかばなし》。
そっちと、こっちで、高声《たかごえ》でな。尤《もっと》も隣近所《となりきんじょ》はござらぬ。かけかまいなしで、電話の仮声《こわいろ》まじりか何かで、
(やあ、和尚《おしょう》さん、梅の青葉から、湯気《ゆげ》の中へ糸を引くのが、月影に光って見える、蜘蛛《くも》が下りた、)
と大気※[#「諂のつくり+炎」、第3水準1−
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