くらい世の中に嫌われるものも少のうござる。
しかし、気をつけて見ると、あれでもしおらしいもので、路端《みちばた》などを我《われ》は顔《がお》で伸《の》してる処《ところ》を、人が参って、熟《じっ》と視《なが》めて御覧なさい。見返しますがな、極りが悪そうに鎌首《かまくび》を垂れて、向うむきに羞含《はにか》みますよ。憎くないもので、ははははは、やはり心がありますよ。」
「心があられてはなお困るじゃありませんか。」
「否《いえ》、塩気を嫌うと見えまして、その池のまわりには些《ちっ》ともおりません。邸《やしき》にはこの頃じゃ、その魅《み》するような御新姐《ごしんぞ》も留主《るす》なり、穴《あな》はすかすかと真黒《まっくろ》に、足許に蜂《はち》の巣になっておりましても、蟹《かに》の住居《すまい》、落ちるような憂慮《きづかい》もありません。」
十七
「客人は、その穴さえ、白髑髏《されこうべ》の目とも見えたでありましょう。
池をまわって、川に臨んだ、玉脇の家造《やづくり》を、何か、御新姐《ごしんぞ》のためには牢獄ででもあるような考えでござるから。
さて、潮《しお》のさし引《ひき
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