は御本人、」
「また出会ったんですかい。」
 と聞くものも待ち構える。
「今度は反対に、浜の方から帰って来るのと、浜へ出ようとする御新姐《ごしんぞ》と、例の出口の処で逢ったと言います。
 大分もう薄暗くなっていましたそうで……土用《どよう》あけからは、目に立って日が詰《つま》ります処《ところ》へ、一度は一度と、散歩のお帰りが遅くなって、蚊遣《かや》りでも我慢が出来ず、私《わたくし》が此処《ここ》へ蚊帳《かや》を釣って潜込《もぐりこ》んでから、帰って見えて、晩飯《ばんめし》ももう、なぞと言われるさえ折々の事。
 爾時《そのとき》も、早や黄昏《たそがれ》の、とある、人顔《ひとがお》、朧《おぼろ》ながら月が出たように、見違えないその人と、思うと、男が五人、中に主人もいたでありましょう。婦人《おんな》は唯《ただ》御新姐《ごしんぞ》一人、それを取巻く如くにして、どやどやと些《ち》と急足《いそぎあし》で、浪打際《なみうちぎわ》の方へ通ったが、その人数《にんず》じゃ、空頼《そらだの》めの、余所《よそ》ながら目礼|処《どころ》の騒ぎかい、貴下《あなた》、その五人の男というのが。」

       十五
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