、野良声《のらごえ》の調子ッぱずれの可笑《おかし》い処《ところ》へ、自分主人でもない余所《よそ》の小児《こども》を、坊やとも、あの児《こ》とも言うにこそ、へつらいがましい、お坊ちゃまは不見識の行止《ゆきどま》り、申さば器量《きりょう》を下げた話。
今一方《いまいっぽう》からは、右の土器殿《かわらけどの》にも小恥《こっぱず》かしい次第でな。他人のしんせつで手柄をしたような、変な羽目になったので。
御本人、そうとも口へ出して言われませなんだが、それから何んとなく鬱《ふさ》ぎ込むのが、傍目《よそめ》にも見えたであります。
四、五日、引籠《ひきこも》ってござったほどで。
後《のち》に、何も彼《か》も打明けて私《わたくし》に言いなさった時の話では、しかしまたその間違《まちがい》が縁《えん》になって、今度出会った時は、何んとなく両方で挨拶《あいさつ》でもするようになりはせまいか。そうすれば、どんなにか嬉《うれ》しかろう、本望《ほんもう》じゃ、と思われたそうな。迷いと申すはおそろしい、情《なさけ》ないものでござる。世間|大概《たいがい》の馬鹿も、これほどなことはないでございます。
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