翠《ひすゐ》となつて、白《しろ》い湖《みづうみ》の上《うへ》を飛《と》ぶであらう。氷柱《つらゝ》の蘆《あし》も水晶《すゐしやう》に――
金子《かね》の力《ちから》は素晴《すば》らしい。
私《わたし》は獺《かはうそ》のやうに、ごろんと寢《ね》た。
而《さう》して夢《ゆめ》に小式部《こしきぶ》を見《み》た。
嘘《うそ》を吐《つ》け!
ピイロロロピイ――これは夜《よ》が明《あ》けて、晴天《せいてん》に鳶《とび》の鳴《な》いた聲《こゑ》ではない。翌朝《よくてう》、一風呂《ひとふろ》キヤ/\と浴《あ》び、手拭《てぬぐひ》を絞《しぼ》つたまゝ、からりと晴《は》れた天氣《てんき》の好《よ》さに、川《かは》の岸《きし》を坦々《たん/\》とさかのぼつて、來日《くるひ》ヶ峰《みね》の方《かた》に旭《ひ》に向《むか》つて、晴々《はれ/″\》しく漫歩《ぶらつ》き出《だ》した。九時頃《くじごろ》だが、商店《しやうてん》は町《まち》の左右《さいう》に客《きやく》を待《ま》つのに、人通《ひとどほ》りは見掛《みか》けない。靜《しづか》な細《ほそ》い町《まち》を、四五間《しごけん》ほど
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