となり、鬼ごツこにも、※[#「石+車」、第3水準1−89−5]《きしゃご》はじきにも、其家《そこ》の門口《かどぐち》、出窓の前は、何時《いつ》でも小児《こども》の寄合《よりあ》ふ処《ところ》。次郎だの、源《げん》だの、六《ろく》だの、腕白《わんぱく》どもの多い中に、坊《ぼう》ちやん/\と別ものにして可愛《かわい》がるから、姉はなし、此方《こなた》からも懐《なつ》いて、ちよこ/\と入つては、縫物《ぬいもの》を交返《まぜかえ》す、物差《ものさし》で刀の真似、馴《なれ》ツこになつて親《したし》んで居たけれども、泊るのは其夜《そのよ》が最初《はじめて》。
西の方《かた》に山の見ゆる町の、上《かみ》の方《かた》へ遊びに行つて居たが、約束を忘れなかつたから晩方《ばんがた》に引返《ひっかえ》した。之《これ》から夕餉《ゆうげ》を済《すま》してといふつもり。
小走《こばし》りに駆けて来ると、道のほど一|町《ちょう》足《た》らず、屋《や》ならび三十ばかり、其《そ》の山手《やまて》の方に一軒の古家《ふるいえ》がある、丁《ちょう》ど其処《そこ》で、兎《うさぎ》のやうに刎《は》ねたはずみに、礫《こいし》に躓
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