ね、ね、柳《りう》ちやん――柳《りう》ちやん――」
うつとりと、目《め》を開《あ》いて、ハヤ色《いろ》の褪《あ》せた唇《くちびる》に微笑《ほゝゑ》むで頷《うなづ》いた。人《ひと》に血《ち》を吸《す》はれたあはれな者《もの》の、將《まさ》に死《し》なんとする耳《みゝ》に、與吉《よきち》は福音《ふくいん》を傳《つた》へたのである、この與吉《よきち》のやうなものでなければ、實際《じつさい》また恁《かゝ》る福音《ふくいん》は傳《つた》へられなかつたのであらう。
底本:「鏡花全集 第四巻」岩波書店
1941(昭和16)年3月15日第1刷発行
1986(昭和61)年12月3日第3刷発行
※「!」の後の全角スペースの有り無しは底本通りにしました。
入力:門田裕志
校正:小林繁雄
2003年11月11日作成
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