取舵
泉鏡花
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)厄介《やっかい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)善光寺|詣《もうで》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「穴かんむり/目」、第3水準1−89−50]然《がっくり》と
−−
上
「こりゃどうも厄介《やっかい》だねえ。」
観音丸《かんのんまる》の船員は累々《やつやつ》しき盲翁《めくらおやじ》の手を執《と》りて、艀《はしけ》より本船に扶乗《たすけの》する時、かくは呟《つぶや》きぬ。
この「厄介《やっかい》」とともに送られたる五七人の乗客を載了《のせおわ》りて、観音丸《かんのんまる》は徐々《じょじょ》として進行せり。
時に九月二日午前七時、伏木港《ふしきこう》を発する観音丸《かんのんまる》は、乗客の便《べん》を謀《はか》りて、午後六時までに越後直江津《えちごなおえつ》に達し、同所《どうしょ》を発する直江津鉄道の最終列車に間に合《あわ》すべき予定なり。
この
次へ
全26ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング