ひ行《ゆ》く幼《をさな》き者《もの》の唱歌《しやうか》なり。
草《くさ》を摘《つ》みつつ歌《うた》ふを聞《き》けば、
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拾乎《ひらを》、拾乎《ひらを》、豆《まめ》拾乎《ひらを》、
鬼《おに》の來《こ》ぬ間《ま》に豆《まめ》拾乎《ひらを》。
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古老《こらう》は眉《まゆ》を顰《ひそ》め、壯者《さうしや》は腕《うで》を扼《やく》し、嗚呼《あゝ》、兒等《こら》不祥《ふしやう》なり。輟《や》めよ、輟《や》めよ、何《なん》ぞ君《きみ》が代《よ》を細石《さゞれいし》に壽《ことぶ》かざる!
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などと小言《こごと》をおつしやるけれど、拾《ひろ》はにやならぬ、いんまの間《ま》。
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斯《か》くの如《ごと》く言消《いひけ》して更《さら》に又《また》、
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拾乎《ひらを》、拾乎《ひらを》、豆《まめ》拾乎《ひらを》、
鬼《おに》の來《こ》ぬ間《ま》に豆《まめ》拾乎《ひらを》。
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と唱《とな》へ出《いだ》す節《ふし》は泣《な》くがごとく、怨《うら》むがごとく、
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