七宝の柱
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山吹《やまぶき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その書体|楷法《かいほう》正しく
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「門<眞」、第3水準1−93−54]
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山吹《やまぶき》つつじが盛《さかり》だのに、その日の寒さは、俥《くるま》の上で幾度も外套の袖《そで》をひしひしと引合《ひきあわ》せた。
夏草《なつくさ》やつわものどもが、という芭蕉《ばしょう》の碑が古塚《ふるづか》の上に立って、そのうしろに藤原氏《ふじわらし》三代栄華の時、竜頭《りゅうず》の船を泛《うか》べ、管絃《かんげん》の袖を飜《ひるがえ》し、みめよき女たちが紅《くれない》の袴《はかま》で渡った、朱欄干《しゅらんかん》、瑪瑙《めのう》の橋のなごりだと言う、蒼々《あおあお》と淀んだ水の中に、馬の首ばかり浮いたような、青黒く朽古《くちふる》びた杭《くい》が唯《ただ》一つ、太く頭を出して、そのまわりに何の魚《うお
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