んだ、おかまの神さん
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから2字下げ]
唄いつつ、廻りつつ、繰り返す。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
画工 (茫然《ぼうぜん》として黙想したるが、吐息して立ってこれを視《なが》む。)おい、おい、それは何の唄だ。
小児一 ああ、何の唄だか知らないけれどね、こうやって唄っていると、誰か一人踊出すんだよ。
画工 踊る? 誰が踊る。
小児二 誰が踊るって、このね、環《わ》の中へ入って踞《しゃが》んでるものが踊るんだって。
画工 誰も、入ってはおらんじゃないか。
小児三 でもね、気味が悪いんだもの。
画工 気味が悪いと?
小児四 ああ、あの、それがね、踊ろうと思って踊るんじゃないんだよ。ひとりでにね、踊るの。踊るまいと思っても。だもの、気味が悪いんだ。
画工 遣ってみよう、俺を入れろ。
一同 やあ、兄さん、入るかい。
画工 俺が入る、待て、(画を取って大樹の幹によせかく)さあ、可《い》いか。
小児三 目を塞《ふさ》いでいるんだぜ。
画工 可《よし》、この世間《よのなか》を、酔って踊りゃ本望だ。
[#ここで字下げ終わり]
[
前へ
次へ
全33ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング