》、衝《つ》と開いて素知らぬ顔す。
画工、その事には心付かず、立停《たちど》まりて嬉戯《きぎ》する小児等《こどもら》を※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》す。
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よく遊んでるな、ああ、羨《うらやま》しい。どうだ。皆《みんな》、面白いか。
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小児等、彼の様子を見て忍笑《しのびわらい》す。中に、糸を手繰りたる一人《いちにん》。
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小児三 ああ、面白かったの。
画工 (管《くだ》をまく口吻《くちぶり》)何、面白かった。面白かったは不可《いか》んな。今の若さに。……小児《こども》をつかまえて、今の若さも変だ。(笑う)はははは、面白かったは心細い。過去った事のようで情《なさけ》ない。面白いと云え、面白がれ、面白がれ。なおその上に面白くなれ。むむ、どうだ。
小児三 だって、兄さん怒るだろう。
画工 (解し得ず)俺《おれ》が怒る、何を……何を俺が怒るんだ。生命《いのち》がけで、描《か》いて文部省の
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