思うが可いさ。」
法学生の堕落したのが、上部を繕ってる衣を脱いだ狼と、虎とで引挟《ひっぱさ》み、縛って宙に釣ったよりは恐しい手籠《てごめ》の仕方。そのまま歩き出した、一筋路。少《わか》い女を真中《まんなか》に、漢《おのこ》が二人要こそあれと、総曲輪の方から来かかって歩《あゆみ》を停《とど》め、間《あわい》を置いて前屈《まえかが》みになって透かしたが、繻子《しゅす》の帯をぎゅうと押えて呑込んだという風で、立直って片蔭に忍んだのは、前夜|榎《えのき》の下で、銀流《ぎんながし》の粉を売った婦人《おんな》であった。
お雪は呼吸《いき》さえ高うはせず、気を詰めて、汗になって、
「まあ、この手を放して、ねえ、手を放して、」と漫《そぞろ》である。
「可いわ、放すから遁《に》げちゃあならんぞ、」
「何、逃げれば、捕《つかま》える分のことさ、」
あらかじめ因果を含めたからと、高を括《くく》って、手を放すと半ば夢中、身を返して湯の谷の方へ走ろうとする。
「やい、汝《うぬ》!」
藁草履を蹴立てて飛着いて、多磨太が暗まぎれに掻掴《かいつか》む、鉄拳《かなこぶし》に握らせて、自若として、少しも騒がず、
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