んと足して、ものの百円ぐらいは出そうという、お前その金子《かね》は生命《いのち》がけでも欲《ほし》いのだろう、どうだね、やっぱり御免を蒙りまするかね。」といって、にやにやと笑いけり。
 お雪は深い溜息《ためいき》して、
「困っちまいました、私はもうどうしたら可いのでございましょうねえ。」
 詮方なげに見えて島野に縋《すが》るようにいった。お雪は止《や》むことを得ず、その懐に入って救われんとしたのであろう。
 紳士は殊の外その意を得た趣で、
「まあ、一所に来たまえ。だから僕が悪いようにゃしないというんだ。え、どこかちょっと人目に着かない処で道寄をしようじゃあないか、そしていろいろ相談をするとしよう。またどんな旨《うま》い話があろうも知れない。ははは、まずまあ毎日汗みずくになって、お花は五厘なんていって歩かないでも暮しのつくこッた。それに何さ、兄さんとかいう人に存分療治をさせたい、金子《かね》も自《おのず》から欲《ほし》くなくなるといったような、ね、まあまあ心配をすることはないよ、来たまえ!」といって、さっさっと歩行《ある》き出す。お雪は驚いて、追縋るようにして、
「貴下、どちらへ参るんで
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