《べっとう》も、引張凧《ひっぱりだこ》になった艶福家《えんぷくか》島野氏も、女だから手も着けられない。
「留めておやり。道や、」
「ちょいと、串戯《じょうだん》じゃあないよ、お前様方《まえさんがた》はどうしたもんです。これお放し、あれさ、お放しというに、両方とも恐しい力だ。こっちはお嬢様がそれどころじゃあないのだのに、お前さんまでがお気を揉《も》ませ申すんだよ。可《いい》加減におし、あれさ、可いやね、そんなら私が素裸《まッぱだか》になって着物を地《つち》に敷いて、その上へ貴女《あなた》を休ませ申すまでも、お前達の世話にゃあならない、どちらへも休みはしないからそう思っておくれ。」とすっきりいった。両人《ふたり》は左右に分れたが、そのまま左右から、道の袖を捉《つか》まえて、ひしと縋《すが》って泣出したのである。道は弱って手を束《つか》ねてぼんやりとするのを見て、勇美子は早やばらばらと音のする雨も構わず、手を両人《ふたり》の背《せな》にかけて、蔵屋と、鍵屋と、路傍《みちばた》に二軒ならんだのに目を配って、熟《じっ》と見たまい、
「二人とも聞きな、可いことを教えてあげよう、しょッちゅうそんなこ
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