た。
殊《こと》に娘が十六七、女盛《おんなざかり》となって来た時分には、薬師様が人助けに先生様の内《うち》へ生れてござったというて、信心渇仰《しんじんかつごう》の善男善女《ぜんなんぜんにょ》? 病男病女が我も我もと詰《つ》め懸《か》ける。
それというのが、はじまりはかの嬢様が、それ、馴染《なじみ》の病人には毎日顔を合せるところから愛想《あいそ》の一つも、あなたお手が痛みますかい、どんなでございます、といって手先へ柔かな掌《てのひら》が障《さわ》ると第一番に次作兄《じさくあに》いという若いのの(りょうまちす)が全快、お苦しそうなといって腹をさすってやると水あたりの差込《さしこみ》の留《と》まったのがある、初手《しょて》は若い男ばかりに利いたが、だんだん老人《としより》にも及ぼして、後には婦人《おんな》の病人もこれで復《なお》る、復らぬまでも苦痛《いたみ》が薄らぐ、根太《ねぶと》の膿《うみ》を切って出すさえ、錆《さ》びた小刀で引裂《ひっさ》く医者殿が腕前じゃ、病人は七顛八倒《しちてんはっとう》して悲鳴を上げるのが、娘が来て背中へぴったりと胸をあてて肩を押えていると、我慢《がまん》が出来
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