《とやま》の反魂丹売《はんごんたんうり》に逢《あ》わしったというではないか、それみさっせい、あの助平野郎《すけべいやろう》、とうに馬になって、それ馬市で銭《おあし》になって、お銭《あし》が、そうらこの鯉に化けた。大好物で晩飯の菜になさる、お嬢様を一体何じゃと思わっしゃるの)。」[#ここで【)。」】となっているは【。)」】のミス? 172−1]
 私《わたし》は思わず遮《さえぎ》った。
「お上人《しょうにん》?」

     二十六

 上人は頷《うなず》きながら呟《つぶや》いて、
「いや、まず聞かっしゃい、かの孤家《ひとつや》の婦人《おんな》というは、旧《もと》な、これも私《わし》には何かの縁《えん》があった、あの恐しい魔処《ましょ》へ入ろうという岐道《そばみち》の水が溢《あふ》れた往来で、百姓が教えて、あすこはその以前医者の家であったというたが、その家の嬢様じゃ。
 何でも飛騨《ひだ》一円当時変ったことも珍らしいこともなかったが、ただ取り出《い》でていう不思議はこの医者の娘《むすめ》で、生まれると玉のよう。
 母親殿《おふくろどの》は頬板《ほおっぺた》のふくれた、眦《めじり》の下った
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