めおとだき》と言うそうで。
真中にまず鰐鮫《わにざめ》が口をあいたような先のとがった黒い大巌《おおいわ》が突出《つきで》ていると、上から流れて来るさっと瀬《せ》の早い谷川が、これに当って両《ふたつ》に岐《わか》れて、およそ四丈ばかりの滝になってどっと落ちて、また暗碧《あんぺき》に白布《しろぬの》を織って矢を射るように里へ出るのじゃが、その巌にせかれた方は六尺ばかり、これは川の一幅《ひとはば》を裂《さ》いて糸も乱れず、一方は幅が狭い、三尺くらい、この下には雑多な岩が並ぶとみえて、ちらちらちらちらと玉の簾《すだれ》を百千に砕《くだ》いたよう、件《くだん》の鰐鮫《わにざめ》の巌に、すれつ、縋《もつ》れつ。」
二十五
「ただ一筋《ひとすじ》でも巌を越して男滝《おだき》に縋《すが》りつこうとする形、それでも中を隔《へだ》てられて末までは雫《しずく》も通わぬので、揉《も》まれ、揺られて具《つぶ》さに辛苦《しんく》を嘗《な》めるという風情《ふぜい》、この方は姿も窶《やつ》れ容《かたち》も細って、流るる音さえ別様に、泣くか、怨《うら》むかとも思われるが、あわれにも優しい女滝《めだき》じ
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