凱旋祭
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)紅《くれない》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|真蒼《まっさお》に
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「しんにゅう+黎」、第4水準2−90−3]
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一
紫の幕、紅《くれない》の旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、唯《ただ》うつくしきものの弥《いや》が上に重なり合ひ、打混《うちこん》じて、譬《たと》へば大《おおい》なる幻燈《うつしえ》の花輪車《かりんしゃ》の輪を造りて、烈《はげ》しく舞出で、舞込むが見え候のみ。何をか緒《いとぐち》として順序よく申上げ候べき。全市街はその日朝まだきより、七色を以て彩られ候と申すより他はこれなく候。
紀元千八百九十五年―月―日の凱旋祭《がいせんまつり》は、小生が覚えたる観世物《みせもの》の中《うち》に最も偉《おおい》なるものに候ひき。
知事の君をはじめとして、県下に有数なる顕官、文官武官の数を尽し、有志の紳商、在
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