芥川龍之介氏を弔ふ
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)玲瓏《れいろう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から5字上げ]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)れい/\ぜん
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玲瓏《れいろう》、明透《めいてつ》、その文《ぶん》、その質《しつ》、名玉山海《めいぎよくさんかい》を照《て》らせる君《きみ》よ。溽暑蒸濁《じよくしよじようだく》の夏《なつ》を背《そむ》きて、冷々然《れい/\ぜん》として獨《ひと》り涼《すゞ》しく逝《ゆ》きたまひぬ。倏忽《たちまち》にして巨星《きよせい》天《てん》に在《あ》り。光《ひかり》を翰林《かんりん》に曳《ひ》きて永久《とこしなへ》に消《き》えず。然《しか》りとは雖《いへど》も、生前《せいぜん》手《て》をとりて親《した》しかりし時《とき》だに、その容《かたち》を見《み》るに飽《あ》かず、その聲《こゑ》を聞《き》くをたらずとせし、われら、君《きみ》なき今《いま》を奈何《いかん》せむ。おもひ秋深《あきふか》く、露《つゆ》は涙《なみだ》の如《ごと》し。
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