きりあ》い攻合《せめあ》う、修羅の巷《ちまた》をお目に懸けねばなりません。――騎馬の方々、急いで下さい。
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燈籠一つ行《ゆ》き、続いて一つ行く。漂蕩《ひょうとう》する趣して、高く低く奥の方《かた》深く行く。
舞台|燦然《さんぜん》として明るし、前《ぜん》の琅※[#「王+干」、第3水準1−87−83]殿|顕《あらわ》る。
公子、椅子の位置を卓子《テエブル》に正しく直して掛けて、姿見の傍《かたわら》にあり。向って右の上座《かみざ》。左の方《かた》に赤き枝珊瑚《えださんご》の椅子、人なくしてただ据えらる。その椅子を斜《ななめ》に下《さが》りて、沖の僧都、この度は腰掛けてあり。黒き珊瑚、小形なる椅子を用いる。おなじ小形の椅子に、向って正面に一人、ほぼ唐代の儒の服装したる、髯《ひげ》黒き一|人《にん》あり。博士《はかせ》なり。
侍女七人、花のごとくその間を装い立つ。
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公子 博士、お呼立《よびたて》をしました。
博士 (敬礼す。)
公子 これを御覧なさい。(姿見の面《おもて》を示す。)
千仭《せんじん》
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