さと帰りねえ、お前《めえ》が知ってるという蓬薬橋は、広場《ひろっぱ》を抜けると大きな松の木と柳の木が川ぶちにある、その間から斜向《はすかい》に向うに見えらあ、可いかい。
また居ようと思うなら振方《ふりかた》を考えるまで二日でも三日でも居さっせえ、私《わし》ン処はちっとも案ずることはねえんだから。
その内に思案して、明《あか》して相談をして可いと思ったら、謂《い》って見さっせえ、この皺面《しわづら》あ突出して成ることなら素《そ》ッ首は要らねえよ。
私《わし》あしみじみ可愛くってならねえわ。
それからの、ここに居る分にゃあうっかり外へ出めえよ、実は、」
と声を密《ひそ》めながら、
「ここいらは廓外《くるわそと》で、お物見下のような処だから、いや遣手《やりて》だわ、新造《しんぞ》だわ、その妹だわ、破落戸《ごろつき》の兄貴だわ、口入宿《くちいれやど》だわ、慶庵だわ、中にゃあお前|勾引《かどわかし》をしかねねえような奴等が出入《でいり》をすることがあるからの、飛んでもねえ口に乗せられたり、猿轡《さるぐつわ》を嵌《は》められたりすると大変だ。
それだからこうやって、夜|夜中《よなか》開
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