負《おぶ》って来て届かねえ介抱をしてみたが、いや半間《はんま》な手が届いたのもお前《めえ》の運よ、こりゃ天道様《てんとうさま》のお情《なさけ》というもんじゃ、無駄にしては相済まぬ。必ず軽忽《かるはずみ》なことをすまいぞ、むむ姉や、見りゃ両親《ふたおや》も居なさろうと思われら、まあよく考えてみさっせえ。
 そこで胸を静めてじっと腹を落着けて考えるに、私《わし》が傍《そば》に居ては気を取られてよくあるめえ、直ぐにこれから仕事に出て、蝸牛《まいまいつぶろ》の殻をあけるだ。可《よ》しか、桟敷《さじき》は一日貸切だぜ。」

       十五

「起きようと寝ようと勝手次第、お飯《まんま》を食べるなら、冷飯《おひや》があるから茶漬にしてやらっせえ、水を一|手桶《ておけ》汲《く》んであら、可《い》いか、そしてまあ緩々《ゆっくり》と思案をするだ。
 思案をするじゃが、短気な方へ向くめえよ、後生だから一番方角を暗剣殺に取違えねえようにの、何とか分別をつけさっせえ。
 幸福《しあわせ》と親御の処へなりまた伯父御叔母御の処へなり、帰るような気になったら、私《わし》に辞儀も挨拶《あいさつ》もいらねえからさっ
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