には甘やかされたり、大恩人に対し遠慮の無さ。
七兵衛はそれを莞爾《にこ》やかに、
「そら、こいつあ単衣《ひとえ》だ、もう雫《しずく》の垂るようなことはねえ。」
やがて、つくづくと見て苦笑い、
「ほほう生れかわって娑婆《しゃば》へ出たから、争われねえ、島田の姉さんがむつぎにくるまった形《なり》になった、はははは、縫上げをするように腕をこうぐいと遣《や》らかすだ、そう、そうだ、そこで坐った、と、何ともないか。」
「ここが痛うございますよ。」と両手を組違えに二の腕をおさえて、頭《つむり》が重そうに差俯向《さしうつむ》く。
「むむ、そうかも知れねえ、昨夜《ゆうべ》そうやってしっかり胸を抱いて死んでたもの。ちょうど痛むのは手の下になってた処よ。」
「そうでございますか、あの私はこうやって一生懸命に死にましたわ。」
「この女《こ》は! 一生懸命に身を投げる奴《やつ》があるものか、串戯《じょうだん》じゃあねえ、そして、どんな心持だった。」
「あの沈みますと、ぼんやりして、すっと浮いたんですわ、その時にこうやって少し足を縮めましたっけ、また沈みました、それからは知りませんよ。」
「やれやれ苦しかっ
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