し、寅晨《いんしん》降霞《かうか》を咀《くら》ふ。琴《こと》は碧玉《へきぎよく》の調《てう》を彈《たん》じ、爐《ろ》には白珠《はくしゆ》の砂《すな》を煉《ね》る。寶鼎《はうてい》金虎《きんこ》を存《そん》し、芝田《しでん》白鴉《はくあ》を養《やしな》ふ。一瓢《いつぺう》に造化《ざうくわ》を藏《ざう》し、三尺《さんじやく》妖邪《えうじや》を斬《き》り、逡巡《しゆんじゆん》の酒《さけ》を造《つく》ることを解《かい》し、また能《よ》く頃刻《けいこく》の花《はな》を開《ひら》かしむ。人《ひと》ありて能《よ》く我《われ》に學《まな》ばば、同《おなじ》くともに仙葩《せんぱ》を看《み》ん、と且《か》つ歌《うた》ひ且《か》つ花《はな》の微紅《びこう》を噛《か》む。昌黎《しやうれい》敢《あへ》て信《しん》ぜず。韓湘《かんしやう》又《また》館《やかた》、階前《かいぜん》の牡丹叢《ぼたんさう》を指《ゆびさ》して曰《いは》く、今《いま》、根《ね》あるのみ。叔公《をぢさん》もし花《はな》を欲《ほつ》せば、我《われ》乃《すなはち》開《ひら》かしめん。青黄紅白《せいくわうこうはく》、正暈倒暈《せいうんたううん》、淺
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