がら、袖に構えた扇の利剣、霜夜に声も凜々《りんりん》と、
「……引上げたまえと約束し、一つの利剣を抜持って……」
肩に綾《あや》なす鼓の手影、雲井の胴に光さし、艶《つや》が添って、名誉が籠《こ》めた心の花に、調《しらべ》の緒の色、颯《さっ》と燃え、ヤオ、と一つ声が懸《かか》る。
「あっ、」
とばかり、屹《きっ》と見据えた――能楽界の鶴なりしを、雲隠れつ、と惜《おし》まれた――恩地喜多八、饂飩屋の床几《しょうぎ》から、衝《つ》と片足を土間に落して、
「雪叟が鼓を打つ! 鼓を打つ!」と身を揉《も》んだ、胸を切《せ》めて、慌《あわただ》しく取って蔽《おお》うた、手拭に、かっと血を吐いたが、かなぐり棄てると、右手《めて》を掴《つか》んで、按摩の手をしっかと取った。
「祟《たた》らば、祟れ、さあ、按摩。湊屋の門《かど》まで来い。もう一度、若旦那が聞かしてやろう。」
と、引立《ひった》てて、ずいと出た。
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「(源三郎)……かくて竜宮に至りて宮中を見れば、その高さ三十丈の玉塔に、かの玉をこめ置《おき》、香花《こうげ》を備え、守護神は八竜|並居《なみい》
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