化鳥
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)愉快《おもしろ》いな

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三角|形《なり》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+散」、138−4]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)居ます/\
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       一

 愉快《おもしろ》いな、愉快いな、お天気が悪くって外へ出て遊べなくっても可《い》いや、笠《かさ》を着て、蓑《みの》を着て、雨の降るなかをびしょびしょ濡れながら、橋の上を渡って行《ゆ》くのは猪《いのしし》だ。
 菅笠《すげがさ》を目深《まぶか》に被《かぶ》って、※[#「さんずい+散」、138−4]《しぶき》に濡れまいと思って向風《むかいかぜ》に俯向《うつむ》いてるから顔も見えない、着ている蓑の裙《すそ》が引摺《ひきず》って長いから、脚も見えないで歩行《ある》いて行《ゆ》く、脊の高さは五尺ばかりあろうかな、猪、としては大《おおき》なも
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