あれで瞳が動きますよ。毎日々々行っちゃあ立っていたので、しまいにゃあ見知顔で私の顔を見て頷《うなず》くようでしたっけ、でもそれじゃあない。
駒鳥《こま》はね、丈の高い、籠ん中を下から上へ飛んで、すがって、ひょいと逆《さかさ》に腹を見せて熟柿《じゅくし》の落《おっ》こちるようにぼたりとおりて、餌《え》をつついて、私をばかまいつけない、ちっとも気に懸けてくれようとはしなかった、それでもない。皆《みんな》違ってる。翼《はね》の生えたうつくしい姉さんは居ないのッて、一所に立った人をつかまえちゃあ、聞いたけれど、笑うものやら、嘲《あざ》けるものやら、聞かないふりをするものやら、つまらないとけなすものやら、馬鹿だというものやら、番小屋の媽々《かか》に似て此奴《こいつ》もどうかしていらあ、というものやら。皆《みんな》獣《けだもの》だ。
(翼《はね》の生えたうつくしい姉さんは居ないの。)ッて聞いた時、莞爾《にっこり》笑って両方から左右の手でおうように私の天窓《あたま》を撫《な》でて行った、それは一様に緋羅紗《ひらしゃ》のずぼんを穿《は》いた二人の騎兵で――聞いた時――莞爾《にっこり》笑って、両方から
前へ
次へ
全44ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング