おつかさん》、先生《せんせい》はね、それでなくつても僕《ぼく》のことを可愛《かあい》がつちやあ下《くだ》さらないの。」
と訴《うつた》へるやうにいひました。
かういつた時《とき》に、学校《がくかう》で何《なん》だか知《し》らないけれど、私《わたし》がものをいつても、快《こゝろよ》く返事《へんじ》をおしでなかつたり、拗《す》ねたやうな、けんどんなやうな、おもしろくない言《ことば》をおかけであるのを、いつでも情《なさけな》いと思《おも》ひ/\して居《ゐ》たのを考《かんが》へ出《だ》して、少《すこ》し欝《ふさ》いで来《き》て俯向《うつむ》いた。
「何故《なぜ》さ。」
何《なに》、さういふ様子《やうす》の見《み》えるのは、つひ四五日前《しごにちまへ》からで、其前《そのさき》には些少《ちつと》もこんなことはありはしなかつた。帰《かへ》つて母様《おつかさん》にさういつて、何故《なぜ》だか聞《き》いて見《み》やうと思《おも》つたんだ。
けれど、番小屋《ばんごや》へ入《はい》ると直《すぐ》飛出《とびだ》して遊《あそ》んであるいて、帰《かへ》ると、御飯《ごはん》を食《た》べて、そしちやあ横《よこ》になつ
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