》きな翼《はね》だ、まことに大《おほき》い翼《つばさ》だ、けれどもそれではない。
第十二
日《ひ》が暮《く》れかゝると彼方《あつち》に一《ひと》ならび、此方《こつち》に一《ひと》ならび縦横《じうわう》になつて、梅《うめ》の樹《き》が飛《とび》々に暗《くら》くなる。枝《えだ》々のなかの水田《みづた》の水《みづ》がどむよりして淀《よど》むで居《ゐ》るのに際立《きはだ》つて真白《まつしろ》に見《み》えるのは鷺《さぎ》だつた、二羽《には》一処《ひとところ》にト三羽《さんば》一処《ひとところ》にト居《ゐ》てそして一羽《いちは》が六|尺《しやく》ばかり空《そら》へ斜《なゝめ》に足《あし》から糸《いと》のやうに水《みづ》を引《ひ》いて立《た》つてあがつたが音《おと》がなかつた、それでもない。
蛙《かはづ》が一斉《いつせい》に鳴《な》きはじめる。森《もり》が暗《くら》くなつて、山《やま》が見《み》えなくなつた。
宵月《よいづき》の頃《ころ》だつたのに曇《くもつ》てたので、星《ほし》も見《み》えないで、陰々《いんいん》として一面《いちめん》にものゝ色《いろ》が灰《はい》のやうにうるんであつ
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