た、蛙《かはづ》がしきりになく。
仰《あを》いで高《たか》い処《ところ》に朱《しゆ》の欄干《らんかん》のついた窓《まど》があつて、そこが母様《おつかさん》のうちだつたと聞《き》く、仰《あほ》いで高《たか》い処《ところ》に朱《しゆ》の欄干《らんかん》のついた窓《まど》があつてそこから顔《かほ》を出《だ》す、其顔《そのかほ》が自分《じぶん》の顔《かほ》であつたんだらうにトさう思《おも》ひながら破《やぶ》れた垣《かき》の穴《あな》ん処《とこ》に腰《こし》をかけてぼんやりして居《ゐ》た。
いつでもあの翼《はね》の生《は》へたうつくしい人《ひと》をたづねあぐむ、其《その》昼《ひる》のうち精神《せいしん》の疲労《つかれ》ないうちは可《いゝ》んだけれど、度《ど》が過《す》ぎて、そんなに晩《おそ》くなると、いつもかう滅入《めい》つてしまつて、何《なん》だか、人《ひと》に離《はな》れたやうな世間《せけん》に遠《とほ》ざかつたやうな気《き》がするので、心細《こゝろぼそ》くもあり、裏悲《うらかな》しくもあり、覚束《おぼつか》ないやうでもあり、恐《おそ》ろしいやうでもある、嫌《いや》な心持《こゝろもち》だ、嫌
前へ 次へ
全66ページ中61ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング